免責許可の決定が確定すると借金は無くなり復権する

自己破産の申立てをして、免責不許可事由がなければ、最終的に免責許可の決定がなされます。

免責許可が決定した場合には裁判所より直ちに破産者および債権者等に通知がされます。異議がなければ免責は確定し、免責の効力が生じます。つまり、税金など一部の債務の支払いを除いて支払責任が免除されるとともに、「復権」の効果が生じます。「復権」とは、破産者となったことで生じた不利益をなくして、破産前と同じ状態に戻ることをいいます。しかし、債権者などから免責許可について不服申立(即時抗告)がされると、高等裁判所で争うことになります。

なお、破産者で免責許可の必要な者が申立をしなかったり、免責不許可になった場合にも、弁済などにより債務のすべてを免れたときには、破産者自身が裁判所に対して復権をしてくれると申し出ることもできます。この場合は、裁判所の判断によって復権することになります。

一方、破産者に免責不許可事由がある場合には免責が不許可になります。免責不許可の決定に不服の場合には、高等裁判所に免責不許可の決定を不服として抗告の申立ができます。

責任を免れない請求権もある

次にあげる債権については免責の許可を得ても責任を免れることはできません。

  • 租税等の請求権、罰金等の請求権
  • 破産者が悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権
  • 破産者が故意または重大な過失により加えた人の生命または身体を害する不法行為に基づく損害賠償請求権
  • ㋑夫婦間の協力および扶助の義務、㋺婚姻から生じる費用分担義務、㋩子の監護義務、㊁扶養義務、㋭前記義務に類する契約に基づく義務、以上に係る請求権
  • 雇用関係に基づいて生じた使用人の請求権および使用人の預り金の返還請求権
  • 破産者が知りながら債権者名簿に記載しなかった請求権

免責についての判例

遊興の借金でも免責された例

バー・キャバレーの女遊び、ギャンブルの射倖行為が過怠破産罪にいうところの浪費または射倖行為に該当するとしても、「過大なる」債務にあたらないとして、免責を許可した(神戸地裁・明石支部決定・昭和58年6月15日)。

割合的一部免責が認められた例

破産者の不許可事由の内容およびその程度、破産者の現在の健康状態を考慮して、破産宣言時における元本の一割相当額につき免責を認めず、残りの部分にいては免責を認めた。また、一年間履行を猶予し、その間の遅延損害金は免責した(東京地裁決定・平成6年2月10日)。

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