任意整理をすることで家族や職場など周りへバレることを心配される方も多いです。たしかに、債務整理の手続きをすることで、何かのきっかけにより家族や職場に借金の事実がバレて可能性もあります。任意整理は債務整理の手段の中でも、最も周囲にバレにくい手段でもあります。

その理由としては、裁判所の手続きではなく、直接債権者との交渉による点にあります。任意整理の和解が成立した後、計画どおり返済をしていれば、借金返済をしている事実が外部に漏れる可能性はほぼありません。

ただし、返済が滞っているのをそのまま放置し続けていると、家族や会社にバレてしまうこともあります。

任意整理が職場にバレるケース

任意整理をしたからといって職場にバレる可能性はかなり低いです。任意整理は他の債務整理の方法と違って裁判所を介さないので裁判所に提出する書類を会社に発行してもらう必要がありません。また、職場に直接何か郵送物が届くようなことも基本的にはありません。

返済を滞納してしまう

債権者と任意整理により和解が成立して返済計画が決まると、原則として最長5年での分割返済がはじまります。

途中、返済を2回分滞納して債権者に何も連絡せず放置してしまうと、和解書の内容により期限の利益喪失してしまいます。期限の利益の喪失とは、借金の分割返済ができなくなることをいいます。


期限の利益の喪失をすると、債権者から残金の一括返済と遅延損害金を請求され、それに応じずにいると訴訟を起こされてしまう可能性もあります。裁判所からの訴状や支払督促を無視し続けると、裁判に負けてしまい、それによって債権者から強制執行をされる可能性が高くなります。強制執行により給与を差し押さえをされると会社にバレてしまいます。

会社から借金をしている場合

従業員貸付制度などにより会社から金銭の借り入れをしている場合には、会社も任意整理の債権者になります。従業員貸付制度とは、福利厚生の一環として、従業員の生活の安定をはかり会社の安定的発展に寄与することを目的に、従業員が会社からお金を借りられる制度です。会社から借入れがある場合には、任意整理により当然会社にバレてしまいます。

ただ、任意整理では整理対象にする債権者を任意に選択することができます。複数の借入先がある場合には、会社からの借入れだけを任意整理の対象から外すこともできますので、それ以外の債権者の借金を整理の対象とすることでバレずに済みます。

また、自己破産や個人再生の手続きの場合には、特定の債権者だけを対象から外して手続きをすることはできませんので、そこが任意整理との違いの1つです。

任意整理が家族にバレるケース

任意整理をすることで家族にバレるかもしれない事を懸念される方は多いです。まず、任意整理をしたからといって家族に何かしら連絡がいくわけではないので、家族にそのことがバレるわけではありません。

ただ、絶対にバレないということではなく、下記のようなケースでは場合によっては家族に知られることになる可能性がないわけではないのであらかじめお伝えしておきます。

訴訟を提起されたとき

司法書士に任意整理を依頼すると、受任通知が送られた段階で、債権者からの督促は一旦止まります。ですので、基本的には債権者から直接連絡が来ることはありませんが、一つだけ例外があるんです。

それは、債権者が訴訟を提起した場合です。つまり、裁判を起こされたケースです。
債権者の中には、司法書士が受任通知を送付した後でも返済のために訴訟を提起してくる会社もあります。

もし仮に訴訟提起されれば、本人の自宅に裁判所から訴状が届いてしまいます。
たまたまその訴状を自分で受け取ればバレないかもしれませんが、もし同居の家族が受け取れば言い訳するのは厳しいでしょう。

ただ、任意整理をしたからといってすぐに訴訟提起をしてくる貸金業者はあまりいません。

受任通知と行き違いで督促が自宅に届いてしまう

司法書士からの受任通知が届くと債権者は、本人に直接請求することができなくなります。通常は、依頼を受けてから1日〜3日程度で受任通知を発送しますので、受任通知が届いた後は自宅に督促のハガキや電話などが来ることはありません。

ただ、場合によっては受任通知の発送が少し遅れることもあります。それは、債権者の数が多くて住所を調べるのに時間がかかってしまうケースや担当部署にスムーズに通知が届かないケースなどに発生します。対策としては、受任通知がすぐに遅れるように債権者一覧を分かりやすくまとめておき、住所などもあらかじめ伝えておくことで対策できます。

また、債権者に銀行などが含まれているケースでは、受任通知が届くと同時に口座が凍結されてします可能性があります。そうなると、お金を引き出すことができなくなるので、先にお金を引き出すまでの期間はあえて受任通知の発送をしないでおくこともあります。この対策としては、銀行の口座に入っているお金は先に引き出しておくことで対策できます。

口座が凍結されて家族にバレる

受任通知が届くと、銀行口座は凍結されてします可能性があります。そのため、家族がその口座を管理していて生活費などをそこから引き出しているようなケースでは、突如お金が引き出せなくなってしまうことでバレてしまうかもしれません。口座が凍結されると、当然キャッシュカードが使えなくなります。

カードが使えなくなって家族にバレる

普段の買い物などを本人の家族カードで行っている場合、家族の方が買い物をしようとしたときにカードが使えないことで怪しまれる可能性は高いです。実際にはこのケースが最も家族にバレる可能性が高いかもしれません。

たとえば、奥さんが普段ネットで買い物をする方であれば、Amazonや楽天で家族カードで決済しようとした際に使用できなくて不信に思われるケースです。今後もそのカードは使えなくなるわけなので、何らかの言い訳を考えておく必要が出てきます。

司法書士との連絡は携帯で

任意整理を司法書士に依頼し、受任通知が発送されると、基本的には債権者から直接連絡が来ることはありません。司法書士との間で連絡を取り合っていくことになりますので、ご自宅の電話ではなく本人の携帯電話でやりとりをする方が家族に怪しまれずに済みます。

また、自宅にいるときに携帯を見られても大丈夫なように司法書士の登録名を個人名などにしておく対策も必要です。

まとめ

ここまで紹介したような任意整理がバレるきっかけを回避できれば、家族や職場に内緒で任意整理を行える可能性が非常に高くなります。他の債務整理の手続きに比べて、1番バレにくい手段が任意整理です。

しかし、家族や職場にバレないという理由だけで任意整理をするのはあまりお勧めできません。たとえ任意整理をしても、その後に借金を返済しなければならないのは変わりありません。返済ができなければ、結局は家族や職場の人に知られてしまい、周囲の人にも迷惑をかけてしまうことにもなります。 場合によっては、自己破産や個人再生を選択したほうが良いケースもありますし、これらの債務整理の方法でも周りに内緒で行える可能性があります。

債務整理の方法として自分にとって任意整理が最も妥当な方法なのかを考えることが先決です。任意整理のことで、ご不明点などありましたら、当事務所までお気軽にご連絡ください。

記事監修者

ローワン綜合法務事務所の司法書士 中瀬雄太です。
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