世に言う「ブラックリスト」とはいったい何なのか? 一般的なブラックリストという言葉の使い方は、要注意人物などを一覧にまとめたものを意味することが多いです。たとえば、居酒屋などで素行が悪いお客が度々トラブルを起こし、お店側から要注意人物としてマークされブラックリストに載るなどのイメージです。

しかし、借金の世界で使用するブラックリストというのは少し意味合います。

公式なブラックリストはこの世にない

ブラックリストというのは、借金の世界では「お金を貸してはいけない人リスト」のような意味合いがあります。しかし、公式な意味でのブラックリストなるものは存在しません。

銀行や貸金業者が誰にお金を貸すかどうかは自由に判断することができます。銀行は反社会的勢力にお金を貸すことは禁止されていますが、その以外は特に法律的なルールの縛りがあるわけではありません。極端な話、破産者にお金を貸してはいけないというルールはないのです。

ただ、それぞれの銀行で個別にトラブルを起こした人をリスト化して保存している可能性はあるので、各銀行の中で独自のブラックリストなるものは存在しているかもしれません。

そもそもブラックリストに載るってどういうこと?

借金が払えなくなってブラックリストに載るというのは、いわゆる「信用情報機関」に事故情報が掲載されることを指します。信用情報機関とは、民間の機関が保有するデータベースであり、金融機関と消費者との間の信用取引について、借り入れ状況や、延滞情報などの借金に関する様々な情報が載っています。

信用情報機関は、主に次の3つの機関が「指定信用情報機関」として指定されています。

  • 株式会社日本信用情報機構(JICC)
  • 株式会社シー・アイ・シー(CIC)
  • 全国銀行個人信用情報センター(KSC)

JICCは消費者金融、CICはクレジットカード会社、KSCは銀行系とザックリと区別することもできます。とはいっても、多くの金融機関は複数の信用情報機関に加盟しています。

ブラックリストに載ってしまう主な原因

信用情報(ブラックリスト)に載ってしまう理由としては様々ありますが、代表的な記載原因としては以下のようなものがあります。

債務整理をした場合

債務整理とは、自己破産、任意整理、個人再生などの方法により、借金に困窮した債務者が一定の手続きにより借金を減額したり、ゼロにしたりする事です。債務整理は債権者にっては都合の悪いことであるため、債務整理をするとその方法を問わず自己情報としてブラックリストに載ってしまいます。

なお、完済後の過払い金請求は正当な権利の行使であり、事故ではないためブラックリストに載ることはありません。しかし、いまだ返済中であり、過払い金請求をしてもなお借金が残る場合には事故情報としてブラックリストに載る可能性があります。

長期間の支払い滞納

実はこれが最も多いパターンかもしれませんが、クレジットカードの支払いなどを長期間滞納してしまうと信用情報に事故情報が載ってしまいます。原則として、3ヶ月以上の延滞をする、もしくは、61日上の延滞の繰り返しがある場合に事故情報が載ることが多いです。

これらは、油断すると誰にでも可能性のある話なので気をつけたいところです。ついつい残高不足で入金し忘れていたなんてことは誰にでもあることです。ただ、2ヶ月以上滞納していれば何度か債権者からの電話や督促状が届いているはずなので気がつくことが多いです。

短い期間で複数の借金やカードの申し込み

分かりやすい例で言うと、消費者金融が複数入っている雑居ビルの上から下の階まで連続して借入の申し込みをするようなケースは典型的な申し込みブラックです。

もっと身近な例で言いますと、クレジットカードの申し込みも要注意です。クレジットカードも短い期間で何社も申し込んでいると、かなり怪しまれます。これは、定期的な収入が少ない人にありがちなことですが、1日の間に複数のカード会社に申し込みをして、数打てば当たると思っているケースです。この方法は全くの逆効果ですので絶対にやめてください。

携帯やスマホの滞納

携帯やスマホというのは、持ってない人を探すのが難しいくらいインフラになりました。この携帯やスマホの料金自体は信用取引ではありませんので、通話料金を滞納したとしてもそれだけで、信用情報に載ることは基本的にはありません。携帯の料金未納情報については信用情報機関ではなく、各携帯電話会社で共有されています。

最も注意が必要なのは携帯やスマホの端末代金の未納です。端末代金を通話料などと一緒に支払っている場合には、端末代金の支払いの滞納は、分割払いの滞納になります。

携帯やスマホの端末代金の分割払いを滞納すると、割賦払いの扱いになるので信用情報に載ってしまいます。どんな経済状態の人でも人と人との連絡手段である携帯やスマホがないと生活するのも難しくなります。そのため、最も身近な滞納リスクとなります。

ブラックかどうかを調べる方法

自分がブラックリスト(信用情報機関)に載っているかどうかを調べるには、ご自身で各信用情報機関に情報開示請求をする必要があります。

3つの機関の中の全部に開示請求するのは大変なので、とりあえずはCICがおすすめです。JICCやKSCに加盟している金融機関はのほとんどはCICにも加盟しているためCICを確認すればだいたいは把握できます。

CICやJICCはスマホやパソコンからオンラインでも、簡単に開示請求ができます。金額も1,000円程度ですが、オンラインで請求するにはクレジットカードが必要になります。また、書面で請求した場合には到着までに時間を要しますが、オンラインでの請求の場合はすぐに画面上で確認することができますので、これを印刷して保管しておくこともできます。

手続きの詳細については、それぞれの信用情報機関によって異なりますので詳しくは各ホームページをご覧ください。

ブラックリストを消すことはできる?

残念ながら、一度載ってしまったリストをご自身で消去することはできません。もちろん、間違った情報であればその旨を指摘する必要がありますが、その金融機関以外の者が信用情報を操作することはできません。

ただ、一度載ってしまった情報も、生涯に渡って載り続けるわけではなく5年〜7年程度で消去されます。この期間は正式には教えてもらえませんので、確実に何年とは言い切れません。消去されれば、これまでのように真っさらな状態に戻るので新しく借り入れをすることもできるようになります。

ですので、「自己破産=一生ブラック」というわけではありません。また、KSCは、個人再生や自己破産(官報掲載情報)については登録期間を10年としていますので注意してください。

ブラックリストに載ることのデメリット

ブラックリストに載ってしまうと、基本的に新たな借り入れやカード発行ができなくなります。カード会社によってはブラックリストに載っている方でも発行できることもありますが、ほとんどのカード会社では新規カード発行は難しくなります。また、現在お持ちのカードの契約更新も難しくなってきます。

金融機関が1番心配しているのは、貸したお金が返って来なくなることです。そのリスクを軽減するために、ローンの時などに与信調査として信用情報を確認しています。

まとめ

ブラックリストに載ると聞くと、人生どん底のようなイメージを持つ方もいます。確かに信用面でいれば、取引で不利なこともありますが、見方を変えればこれから新たに生活再建をしていくリハビリ期間と捉えることもできます。基本的に5年程度で情報は消去されるので、それまでは現金主義で生活をしていけばいいのです。

とはいえ、ブラックになった人とは絶対に取引をしてはいけいないという法律があるわけではないので、「ブラックリストに載ったからといって絶対に信用取引ができなくなる」というわけではありません。

5年前のブラック時の情報よりも、現在の収入や属性がしっかりしていれば、そちらを重要視する金融機関もあるからです。

ブラックリストに載ることを不必要に煽って、なかば脅しのように言ってくる悪質な業者もあります。そういった怪しい情報には惑わされないように注意していただきたいです。また、不安なことがあれな司法書士や弁護士などの借金の専門家に相談されることをお勧めします。

記事監修者

ローワン綜合法務事務所の司法書士 中瀬雄太です。
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